プロジェクトストーリー
最先端の半導体製造を支える露光装置開発への挑戦
Member profile

N.S
開発設計担当
プロジェクトの役割
装置全体の設計と要素技術開発を担当。レンズなどの光学系から周辺機構まで、巨大装置でありながらサブミクロン精度を実現する技術開発の中心的役割を担う。

T.O
生産管理担当
プロジェクトの役割
部材調達から製造工程の立案、スケジュール管理まで生産全体を統括。入社25年のベテランとして、技術と製造現場の橋渡し役を務める。関係各所との調整を通じて、プロジェクトの着実な進行を支える。

K.S
マーケティング担当
プロジェクトの役割
顧客への提案・受注活動と並行して、半導体業界の技術トレンドを分析し、将来の市場ニーズを予測。業界大手の動向を社内に展開し、開発の方向性を定める羅針盤的存在。
概要
半導体産業の未来を見据え、2021年12月にスタートした最先端パッケージ向け露光装置の開発プロジェクト。技術的に極めて高いハードルと、刻々と変化する市場ニーズへの対応という二重の挑戦に、技術・製造・営業の3部門が一体となって立ち向かいました。プロジェクトの中核を担った3名が、その苦労と手応え、そしてウシオ電機ならではのチームワークについて語ります。
未来を見据えた壮大なプロジェクトの始動
——まず、このプロジェクトはどのような経緯で立ち上がったのでしょうか。

K.S
企画書をつくったのが2021年12月。半導体市場の動向を分析していく中で、「将来的にこういう半導体パッケージが必要になるだろう、それを作るためにはこういうスペックの装置を工場に入れないといけない」と予測し、当時一緒に市場分析をしていた先輩社員と分担して、社内を巻き込みながら企画書を練り上げ、スタートさせました。
——プロジェクトが始まったときの心境はいかがでしたか。

N.S
初めてプロジェクトの内容を聞いたときは、正直なところ「大変なことになるぞ」と思いましたね(笑)。それぐらい壮大な話だったんです。

T.O
僕も最初はイメージが湧きませんでした。「とりあえず入ってくれ」と言われてアサインされましたけど、「どう回していけばいいんだ、これ」というのが正直な印象でしたね。アイデアはあるものの、実際にかたちにしていくまでの道筋が、当初全くイメージがついていなかったです。

N.S
一方で、顧客や市場と日々向き合っているK.Sが言うなら不可能なことではないな、上手くいけばおもしろい仕事になるな、とも思っていました。営業側のニーズとこちら側の技術をしっかりすり合わせて、両方が「これだったらなんとか頑張ればいけるかもしれない」というところに落とし込んでいければきっと解はある。当然、お客様があってこそのメーカーとしては、顧客の望みを叶えてこそですから。

常に変わるニーズの中で、巨大かつ繊細な装置をかたちにする
——開発プロセスで特に難しかった点は何でしょうか。

N.S
私は技術の側面から、装置の設計と、それに必要な要素開発を担当しました。この露光装置って、4メートル以上の巨大な装置なんですよ。それでいてサブミクロン単位の挙動が求められる。この相反するところを成立させなくてはいけないというのが、技術面において最大の挑戦でした。

K.S
しかも、半導体関連のお客様は、展開が変わるスピードが早いんです。あるときはAと言っていて、次の日にはBと言っている、なんてことは日常茶飯事。市場全体がそういうスピード感なんです。でも、我々のようなメーカーはそんな一朝一夕でものをつくれるわけじゃない。2年後、3年後に完成する装置がどうあるべきかを、あらかじめ予想して進めなければならないというジレンマがありました。

N.S
術側としては、そんなマーケティング活動を支える側面もあります。たとえば、お客様は「こんなことができたら最高だ」という理想を掲げます。そこで現実的な解はどこなのか、具体化していくことで提案しやすくするんです。

T.O
また、今回の露光装置の場合、新規性の高い要素が多かったこともあり、いざ製造段階になると技術側で設計した図面通りにいかない場面もありました。しかも、実際にお客さんのところに導入してみると「ちょっと違ったな」みたいなこともある。生産担当としては、営業や技術側とディスカッションを重ねながら、いかに設計精度を上げていけるか、いかにニーズに近づけていけるかを考えながら改善を重ねていきました。

距離の近さが生む強力なチームワーク
——チームで仕事をする中で、印象的だったエピソードはありますか。

K.S
T.Oさんがガントチャートをつくりながら、プロジェクトの舵取りをしてくれるんですよ。「ここまでに工場に納入しなければいけない。それならどの部署が・いつまでに・これをしなければならない」と提示してくれる。そうしたリードは本当に助かりました。

T.O
やりたいことの実現計画をつくるのが私の役割ですからね。でも、一方で私はゴールまでの線を引くことはできても、実際に手を動かすわけじゃない。現場でつくってもらう人たちに、いかに納得してもらえるかは意識していましたね。その人の稼働状況や工場全体の生産状況を把握した上で、「このタイミングでこのぐらいの工程だったらいける」というラインを見極めて提案していました。一方で、私もK.Sさんには助けられています。たとえば、どうしてもスケジュール面で要望に応えられないときには納期の交渉をしてもらったこともありました。

N.S
私はK.Sさんに助けられた印象があります。「技術で遊ぶ」と言いますか、「この技術を使って何ができるかな」と考えるのが、私は好きで。一方で、どんな的に向けてこの技術を投じればいいのかわからなくなるケースも結構多いんですよ。そんなときお客様に一番近いK.Sさんから顧客のニーズを教えてもらえると「こういうことできるかな、ああいうことできるかな」と方向性をチューニングすることができるんです。

K.S
そこは持ちつ持たれつですよね。N.Sさんのような技術に詳しい方が後ろにいると、営業側として思い切って提案できるんです。お客様に「こんな装置ができますよ」と風呂敷を広げた提案した後でも、「このラインは難しいかもしれないけれど、このラインだったらできる」と返してくれる。お互い言いたいことを言い合いながらディスカッションすることで、提案が磨かれていった印象があります。

チャレンジを歓迎する文化が生む成果
——プロジェクトの現在の状況と成果について教えてください。

T.O
実際にお客様へ販売する最終段階まで来ています。あと1、2年でお客様の社内に導入される予定です。ここに至るまで4年かかりましたね。ただ、本番はこの後。実際にこの露光装置を使って、評価してもらって、量産化して、世の中に普及したと言えるまで数年かかるでしょう。そこまで気を緩めず向き合いたいと思っています。

K.S
営業側と工場側の距離感が近いことだと思います。私自身、用事がなくても御殿場の工場に行って気軽に情報交換したりすることもありますから。

T.O
全体的に否定的な人間・保守的な人間がいない気がしますね。チャレンジングなことをしたい人が多くて、新しいことをやるのに抵抗がない。「みんなで攻めていこう」というマインドが浸透している気がします。実際にこのメンバーも、難しいと思いつつ「いっちょやってやるか」と取り組み始めましたから。

N.S
みんなで力を合わせて、なんとかやりたいことを叶えようとする、という雰囲気はあると思います。露光装置って、ものすごい技術力がある人材が1人いたとしても何の意味もない。いろんな人、いろんなパートナー会社と力を合わせることでやっと出来上がるもの。必要なリソースを調達し、力を活かし合いながら技術を開発していくというノウハウはウシオ電機にはあると思います。
——最後に、求職者へのメッセージをお願いします。

T.O
入社して25年になりますが、近年のウシオ電機はますます社会や市場を見つめ、解を見出そうとする風土が強くなってきました。不確実な世の中でマーケットは何を求めているのか。常にアンテナを張りながら、チャレンジを恐れない仲間と一緒に働きたいです。

N.S
基本的に我々はメーカーなので、お客様の声を統合して未来を予測し、望む社会を実現できるようにするための装置をつくっていくのがあるべき姿。その過程では技術力だけでなく、人を巻き込む力も必要です。そういった総合的な力を身につけたい方には、とても良い環境だと思います。

K.S
半導体業界は今後も成長が続く分野です。その最前線で、世界の大手企業と渡り合いながら、未来の技術を作っていく。そんなダイナミックな仕事に興味がある方、ぜひ一緒に挑戦しましょう。
